2021-01-01から1年間の記事一覧

2021-12-31(年末/まとめ)

もう年をまたいでしまったけれども、去年の良かったものまとめを一応記しておきます。 本 映画 買ったもの 本 283冊読みました。 ・人間の生のありえなさ/脇坂真弥…本当のことしか書かれていません。 ・房思琪の初恋の楽園/林奕含…三人称多元で書かれた小…

2021-12-29(叔母たち/透明)

乗代雄介の最新の本である『掠れうる星たちの実験』に収められている、阿佐美サーガの書き下ろしの一片「フィリフヨンカのべっぴんさん」には、景子が叔母のゆき江に生前貸した最後の本が『違国日記』の第一巻であることが書かれている。 2020年1月23日の私…

2021-12-18(メランコリー/ジェンダー)

卒業論文を提出した。テーマ自体は一年以上前からずっと変わっていなくて、最初からこういうものが書きたいというヴィジョンがなんとなくあったけれど、それを秩序立てた論文の体裁にするということが難しくてそれなりに苦しかった。でもなんとか書きたいこ…

2021-11-11(ラギッド/misstopia)

11/7 朝電話で泣き、行く道でも電車でも泣き、帰り際も泣き、はやく死んじゃいたいとしか考えられなかった。セックスのあいだは全部忘れていた。前の日に何もしない日を作らないほうがいいって書いたばかりなのに何もできなかった。『ラギッド・ガール』最初…

2021-11-06(視力/見通し)

何度か書こうとはしたけれど、十月は一度も書けなかった。去年もこの時期の更新が全然なくて、悪い季節なのだと納得する。このままずるずると書けなくなっていくのでどんなにつまらなくても書いてみることにする。 目を酷使するので視力が落ちてしまった。右…

2021-09-27(他人の言葉/ありえなさ)

なにぶんいちばん厄介なのは、他人の言葉で語るという恐ろしさをはっきりと自覚していないので、その振りがかなり大振りなことです。僕が当時漠として抱えていた「不快」は、このあたりに存していたのかもしれません。つまり、なぜこんな風に書くことしかで…

2021-09-21(罅/ああこれは)

そわそわして早く起きる。暗いところで化粧するから変になってるって言われる夢をみた。窓に映った自分の顔が白くひび割れていた。昨日図書館で借りた『ベケット氏の最期の時間』を読む。一老人としてのベケット。そんなに面白くない。いつも暗いところで化…

2021-09-06(ぬいぐるみ/逃亡派)

ぬいぐるみは、大切にしていたらいなくならないし、こちらになにか要求してくることもなくただそこにいる。 茅野のツイッターアカウントは復旧したものの、ツイートをする気分にはならず、でもツイートのような断片的なたとえば上のような文章がうかんできて…

2021-09-02(土星/としての/私)

日記はキティと呼びかけるより、あんた誰?から始めたい派だ。だいたい一週間以上書かないでいると、書き方を忘れてしまう。 何日も何週間もむなしく頭を悩ませ、習慣で書いているのか、自己顕示欲から書いているのか、それともほかに取り柄がないから書くの…

ドゥルーズと音楽

※学部二年の冬に提出したレポートの転載です。 ハミングは音の響きとして繰り返される。リトルネロ、夢というものが意識が回収しきれずにいる綻んだ苦しみをすっぽりと覆い尽くすものであるのと変わらずに、ことばで縫合しきることのない境界をさすり続ける…

2021-08-21(ノート/つるはし)

去年同様、現在のノートの使用状況を備忘録的に書いておく。 ・三年日記:無印文庫ノート 去年同様 ・日記:モレスキン 一番小さいサイズのピンク 去年同様。そんなに使ってない。 ・日記:MDノート 文庫横罫 今年あたまから使用。『最高の任務』を再読し、…

2021-08-20(まどか/ほむら)

きのう、『魔法少女まどか☆マギカ』をはじめて、一気にみた。すごい話だった。(昔のだから、ネタバレとかないかもだけど、一応ネタバレ嫌な人は以下読まないほうがよし。見てない人はまっさらな状態で見てほしい)。簡単に無意味に泣くので、泣いたっていっ…

2021-08-15(とり乱し/乞食)

すずしくて体が楽だ。このまま秋になってくれたらどんなにいいか。 個人の努力でいくらでも可愛くなれるということが規範化された狭苦しい世の中だと思う。しかもその可愛さというのは、ぱっちり二重で顔の肉がすくなくて眉が並行で目と眉がちかくて鼻筋が高…

2021-08-12(カメラの眼/能動/おそれ)

濱口竜介の『寝ても覚めても』の二回目をみて、そのあと柴崎友香の『寝ても覚めても』をはじめて読んだ。映画と小説はべつのものとして、それでも小説を読んで朝子という人がわたしのなかでかなり違う印象になった。まず、写真を撮る人であるということ。小…

2021-07-29(制作へ/多宇宙)

ぼくらは、当たり前のことだけれど、小説をひたすら巧みに練習しているだけでは、自ら死に向かう気持ちを、うまくくつがえすことができない。 『いぬのせなか座1号』の、感動的ですらある座談会1の冒頭近くにおかれた文章。これは、一月二十三日に『旅する…

2021-07-26(摩耗/夢の棲む/闘い)

気圧や気候や生理に伴うホルモンバランスや人との摩擦など、ぜんぶストレスといえばそれでかたづいてしまうのだが、それにしてもかつてない身体の異常が起こっている(おさまりつつある)ので動揺している。母はもっと動揺している。そのことにいまなお甘え…

2021-07-20(私の世界/演技/私)

セカイ系と呼ばれうるもの(エヴァ、ファイアパンチ)を見・読んで、女性主人公が愛する相手か世界の滅亡かを選ばなくてはならない設定の物語ってあるのだろうかという疑問がわいた。そのことを人に話したら、女性はそもそもそういった感情、世界がどうなっ…

2021-07-16(庭園の夏/やり直し/体力)

私には、夏そのものは美しいと感ずる前に怖しい。恐怖の第一要因は湿度、熱気と湿気の相乗性による不快感は、私から思考能力を完全に奪い去る。黴雨時の満員電車を想像するだけで嘔吐を催す。[…]私の遊行逍遥するのはもつぱら言葉の王國、抽象の城館、庭園…

2021-05-22(人/門/社会)

雨がつづき、ぐったりと横になっている時間が長い日々を過ごしている。いまは何も考えずに読めて満足感がある話を頭に流し込みたい気分なので、ミステリに分類されるものを読んでいる。恩田陸『ユージニア』、皆川博子『倒立する塔の殺人』、森博嗣『すべて…

2021-05-13(生活/不安)

毎日ここに日記をのこすのは無理だった。土曜の夜から不安と緊張に呑まれてほとんど何も手に付かないような状況が続いている。細切れに寝る。何も、といっても必要最低限のことはやれているので、そとから見ればできていることになるのかもしれない。このあ…

2021-05-08(受け身/塔/多世界)

5/7 濱口竜介『PASSION』をみた。誕生日のテーブルからもうアップの切り返しで写される関係がぴりぴりしすぎていて笑ってしまう。よく笑ってしまう映画だった。濱口竜介の映画の人物のサイコパスモードのとき、結構笑ってみてしまう(重心ワークショップとか…

2021-05-06(安定/透明な)

よく人と喋った日だった。 夢に美味しそうなドーナツ(チャイ味とオランジェット味)が出てくる。家にたまたまポンデリングもどきみたいなドーナツがあったので食べようとするも、衝撃的に不味く、ひとかけでなげだす。Amazonのほしい物リストから誰かが贈っ…

2021-05-05(風が強い/世界と私)

まだ半睡のまなこで電話をとる。家から駅に向かっているのだという。風が強いのでよく聞き取れない。半睡のまま切る。 くらもちふさこの『いつもポケットにショパン』を途中まで読む。母の持ち物。主人公の麻子が人の気持ちに疎いわりには機嫌を伺いすぎるの…

2021-05-04(不覚/残酷さ/無断)

とにかく、思考が連続しない。腹痛や頭痛や腕につくられた痣のことに気を取られたり、ネット空間の有象無象にすぐに脳を預け、そのなかで迷子になってしまったり、私という統覚はすぐに解体をはじめようとする。だから、日々のセーブポイントとして、日記を…

2021-04-17(徒労/家の/執着)

就活はまったくもってうまくいっていないけれども、そもそもなんの準備もしていないしどこにもひっかからなければ院、という選択肢も残されている(そこにいけるのか、いってやっていけるのかは別)ので、そこまで気にやむこともない、と言い聞かせつつ、や…

2021-03-22(不眠/天使/努力)

白昼の星のひかりにのみ開く扉、天使住宅街に夏こもるかな/浜田到この星はあなたにあげる「るー」るーと五月蝿い天使、歯で追い退けるー/白糸雅樹何食わぬ顔で天使が乗っている最終電車は星を灯して/佐藤りえ純白のシクラメン立つ冬の隅 天使が鼻をかみす…

2021-03-05(快楽/外/電話)

今週は二度雨が降った。 ここにも堆積ができてきて、過去の私を参照することも増えた。2019-05-16に引用した部分を再びのせたい。 「敵味方じゃなくってさ、一生に一回情熱と快楽に悶えるような激しい恋をするのと、そこそこ楽しいけどそんなには酔えない、…

2021-02-14(欺瞞/不毛/共同体)

戦争を知らない 四時間目、修学旅行の作文の発表会だ。わたしたちは先月、三泊四日で広島・長崎をめぐる修学旅行に行き、その感想の作文を書かされていた。広島・長崎という場所設定には大人の思惑を感じずにはいられなかった。「みなさんは、鉄腕アトムを知…

2021-01-23(練習/生きる/亜美)

したがって、問いに応答するゲームとしての詩作は、自己表現というより自身のプレイヤーとしての能力を試し鍛える「練習」のようなものである。もっとも、詩作を「練習」と見なすといっても、それはもちろんヴァレリーが自身の詩の質に関して無頓着であった…

2021-01-16(エゴ/鏡/エゴ)

書くかどうか躊躇われることを、これから書く。 ネットをやると、いかに自分がありふれているか、替えのきく存在かということがよくわかる。好きなものの共有が、コミュニケーションの手段となっていることも、それによってもっと良いものを知るときがあるこ…