2021-11-11(ラギッド/misstopia)

 


11/7

朝電話で泣き、行く道でも電車でも泣き、帰り際も泣き、はやく死んじゃいたいとしか考えられなかった。セックスのあいだは全部忘れていた。前の日に何もしない日を作らないほうがいいって書いたばかりなのに何もできなかった。『ラギッド・ガール』最初の二篇を読む。

 


11/8

Amazonから来年の手帳(ミドリの日の長さを感じる手帳)と、セルジュ・ティスロン『家族の秘密』(アブラハム&トロークわからない…と呟いたら勧めてもらった本)届く。今日は昨日ほど気が滅入っていない。というか卒論の作業をしている最中に落ち込んでいることってそんなにないかもしれない。できていないときにダメになるのだ。

卒論はいちおうバトラー論なのだが、精神分析の元テクストの解説部分が思いのほか多い。バトラーの論者は精神分析を忌避するな!という裏スローガン?のもとやっているから仕方ない。今日は狼男のフロイトと、アブラハム&トロークの読解部分。バトラーの著作では狼男なんて影も見えないのに…。五時間ぐらいで身体的に疲れ切ってしまう。目も腰も肩も痛い。ドイツ語の予習一時間弱。落ち込んでなかったのに夜また悲しくなる。これは信用していないとかじゃなくて、ずっと怖いからずっと明日別れるのだと思っている。またひとしきり泣いて寝る。

 

「私が殺したんだ、と気づいたの。私が本を読んで……読みすすめることでミランダは死んだんだ、って。阿雅砂と二度目の対話をしている最中に、突然そう気づいたの。ガンと殴られたみたいなショックだった」

「どういう意味かな」

「私が本をひらくまでは、ミランダは紙に印刷されたただの活字。そのままにしておけば彼女は死ぬこともなかったわ。うかつにも私が読んだりしたばっかりに、彼女は”生きた”」

「”生きた”?」

「そう。本を読んでいるあいだじゅう、たしかにミランダは生きていたわ。私の中でね。でも、読みすすめることで、どうしようもなく、私はじりじりと彼女を死に追いやっていくの。あんなに聡明ですてきな子なのに」すこし涙が出た。「ばかみたい?でも私は気づいてしまったの。小説の酷い場面に眉をひそめている私たちこそが、ほんとの実行犯なのよ」

「死んではいないかもしれないじゃないか」カイルはおだやかに言った。「だってきみはミランダがどんなに生き生きしていたか思い出せるんだろう?ならきみの中にミランダという小さな人格は保存されているよ。もしかしたら、彼女のことを考えていないときでさえ、きみのミランダは意識されないサブルーチンとして、いきいきと思考しているかもしれない」

 


飛浩隆「ラギッド・ガール」

 


11/9

二時くらいに寝て、五時くらいに目が覚めてしまった。腰から首にかけてが痛くて呼吸が苦しい感じ。もう一度寝ようとしばらくぐだぐだしていたけれど、音楽を聴いてもくらげになってみても眠れず、起き上がる。お腹が空いてる気がして卵かけご飯をたべた。八時くらいにもう一度ベッドに入ったらすんなり寝る。しかし二限があるので十時半に無理やり起きる。先週の火曜もまったく同じような感じで眠れず、困ってしまう。なんとか二限でる。ヘルダーリンの詩の訳。ドイツ語を思い出したくてとったけど、あんまり楽しくないので最後まででられるかわからない。授業後何もできず泣きながらバイトへ。雨が上がっていてよかった。2コマ。反抗期の中一女子にあたって疲れる。でも今日で卒論に集中するため一ヶ月ほど休む。

 


11/10

三限にでる。あんまり聞いてなかった。ポケユナにアプデが入って愛するアローラキュウコンが強化され、五連キルできて嬉しい。

そして恵比寿のリキッドルームTHE NOVEMBERSの「Misstopia」11周年記念ライブ。ライブハウス行くの初めてで勝手が分からず緊張していたけど、無事後方の見やすい位置を確保。結構みなリュックとかコートとか持ち込むのね。(まあロッカー400円したし…わたしはもともと身軽だったから使う必要なかったな…とおもった)。ちゃんと真っ黒ワンピースで参戦。

ライブは最高だった…!すばらしい轟音に圧倒された。作風が変わってきたバンドだし、2010年のアルバムだから、もう今ライブ行ったりしても聴けないんだろうなあと思っていたからMisstopiaの曲が聴けて本当に嬉しかった。大好きなアルバム。paraphiliaのほうも、keep me keep me keep meが聴けてよかった。これからも生活のなかでふつうに涙を流し聴き続けるだろう。ライブ行ったら音源のほうがいいなあと思ってしまうバンドも正直あるから、行って良かったと心から思えてほんとうに良かった。理解者とか消失点とか「At the Beginnig」の曲もいくつかやってくれて、ばちばちのシャウトもきけて、でもずっと美しくのでずっと身体が気持ちよかった。踊ってた。自意識とか考えずにただ身を委ねるだけでよかった。

 


11/11

ノベンバききながら大学へ。プルースト演習は二回にわたって担当回。ヴァントゥイユの七重奏の部分で、今日のところはとくにリトルネロっぽい描写でドゥルーズだ!と思った。でもやっぱり単語選択で凝ってるな〜というところが多々あり、解釈の議論が白熱してよかった。こういうふうに小説じっくり読む演習が学部にもっとあったほうがいい。図書館で調べ物するはずが疲れて帰宅。ユナイトはハイパーとエリート行ったり来たりするのが嫌になったのと中毒になっても困るので消した。卒論終わったらswitch買いたいなーと思ってるけど、目これ以上悪くしたくないし、純粋にたのしい!って感じになれないから、どうしようかな…あつ森はやりたいが。『アンチオイディプス』と『左翼のメランコリー』読む。原稿は月曜にストップしたままだ。ドゥルーズとバトラーってやっぱり似てるところあるなあと思う。