2021-09-21(罅/ああこれは)

 

 

そわそわして早く起きる。暗いところで化粧するから変になってるって言われる夢をみた。窓に映った自分の顔が白くひび割れていた。昨日図書館で借りた『ベケット氏の最期の時間』を読む。一老人としてのベケット。そんなに面白くない。いつも暗いところで化粧しているのは事実なので今日はちょっと光に気をつける。白く割れてはないと思う。


大学図書館へ行く。これ以上ないくらいのいい気候。少し暑い。サトミマガエの「Hanazono」を聴く。電車で寝てしまう。

 


着いてから、郷原佳以『文学のミニマル・イメージ』を読み終える。参照項が多く、交通整理が上手な感じの文章。またブランショの本をいくつか読んだら読み返そうと思う。手元にあってもいいのだが、今はオンデマンド版しか出回っていないらしい。

 


詩歌の書架からめぼしいものを取り出す。

石松佳『針葉樹林』と、服部真里子『行け広野へと』をぱらぱらと通読。

 

春だねと言えば名前を呼ばれたと思った犬が近寄ってくる

湖を夢に訪れああこれはあなたのために鎖される扉

遠雷よ あなたが人を赦すときよく使う文体を覚える

 


そういえば今朝は向かいのベランダの犬が一段と吠えていた。飼い主が室内から「うるさい!」と叫ぶが、その声の方がうるさいと近隣の人に思われるとは思わないのだろうか。

本棚を眺める。大学が近くはないのであまり図書館にも来れない。卒業までにあとどれくらい読めるのか。地下に降り、『atプラス』30号の、松本卓也と千葉雅也の対談をぱらぱら読む。本誌内で内海健自閉症スペクトラムの精神病理』を参照している論文が複数ある。Twitterでも最近見かけた本だったので借りたいと思い、検索をかけるが、ない。割と重要そうな本なのに大学図書館でそんなことあるだろうか。すぐさま購入リクエストを送っておく。

九冊返し、九冊借りる。

松本圭二詩篇アマータイム』
・マーサ・ナカムラ『雨をよぶ灯台
・脇坂真弥『人間の生のありえなさ』
・ラプランシュ『幻想の起源』
・エンソォ・トラヴェルソ『左翼のメランコリー』
デリダ『雄羊』
・ジゼル・サピロ『文学社会学とはなにか』
・ド・マン『読むことのアレゴリー
・横田祐美子『脱ぎ去りの思考』

クリスタ・ヴォルフ『一年に一日』や『吉原幸子全詩Ⅰ』も借りたかったが、結構重たいのと上限冊数と優先度で見送る。年明け、卒論から解放されたらもっと好きに色々読みたい。私は飽きっぽく、一冊の本を長く読み続けることができない。停滞している感じも読み切れないのも嫌なのでどれだけ粗くても早いペースでともかく読み切って、また必要があれば読み直せばいいのだと思うことにしている。『雨をよぶ灯台』はもう一回読んだ方がいいなと思って借りた。

 


医療費申請の手続きをするべく事務所へ。しかし領収書が一枚足りない気がするので申請できない。来月11日までにまた来なくてはならない。やや意気消沈し、もう帰りたい気分だが、セブンでチキンとたまごのチリソースのサンドイッチを買ってもそもそと食べる。大学では食べる場所にいつも困り、いつもコンビニで適当に買って空き教室とか人通りのないベンチとかで食べる。居心地は悪い。わりと人がいて、大学生って煩いなあと思う。私の好き嫌いは音で決まる。

もう一つの図書館へ移動し(地味に距離があって嫌だ)、ドミニク・ラカプラ「トラウマ・不在・喪失」(村山勝敏訳『みすず』2000年5,6月)だけコピーして出る。服でも見て帰ろうと思っていたが、重たいし疲れたしまっすぐ帰る。いつも大学へは大量に本を運搬するのでぐったりしている。帰り道はこれを書く。書きながら、総じて大学に居心地の悪さを感じ続けているのだと思う。図書館内でさえ、あんまり落ち着かない。

 

大学から最寄り駅へ降り立つと、いつも深々と息を吸う。たぶん都心には住めないだろう。日が暮れている。