2019-07-16(秋色/ディティール/固有名詞)

 

 

月曜は夜にバイトがあり、火曜は満員電車に乗って一限に出てそのまま二か三コマ受けて、夜にまたバイト。ほぼ毎週そんな感じだったけど、書いてみるとあらためて結構えらいんじゃないかと思う。それも今日で終わって、これからはもう絶対に一限をいれないと固く誓っている。なんだかずっとお腹がいっぱいな気がするけど、なにかを口に入れたい感じがして、いざ食べてみるとやっぱりいらなくなる。化粧品欲しい欲しい期が到来していて、毎日ちょっとずつ買ってしまう。昨日はオペラのバーガンディーを、今日はネイルホリックを二つとエクセルのアイブロウを買った。涼しいからか秋の気分になってしまい、秋っぽい色味を選ぶ。パーソナルカラーがおそらくイエベ秋なので秋色が似合うのである。いつかちゃんと診断に行ってみたい。

『小春日和』がすごく好きだったので読み終わった後すぐに注文した『彼女(たち)について私の知っている二、三の事柄』をぱらぱらと読んでいる。金井美恵子には謎の警戒心を持っていたのだけれど(だって「金井美恵子なんてこわくない」という特集が組まれるくらいだし)、なんだか払拭された感じがする。一文がやたらと長い文章への苦手意識があっても、このおしゃべり口調だと楽しく読める。むしろなんだか文体が自分に乗り移ってきた感がある。目白ものじゃない長編だとまた印象が変わるかもしれない。

江國香織を好きな理由のひとつで、やっぱりディテールとして差し出される固有名詞がいちいち素敵というところがあって、たとえば森永のチョイスをミルクティーに浸す(これはたしか『ちょうちんそで』)とかなんだけど、金井美恵子はおんなじことをやるにしてもやっぱりちょっと皮肉な感じでやる。

あたしは一瞬、若き日のボーボワール流の挑戦的態度、料理のコースを逆に注文するというやり方を思い出して、クレープ包みのアイスクリームを注文してやりたい気分だったが、そういうのも、幼稚な逆スノッブだと考えなおして、ドライ・シェリーにした。もちろん、ドライ・シェリーなんてものを飲むのは生れてはじめてだけど、イギリスの小説を読んでいると、すぐに出てくるお酒なので、どんなものなのか飲んでみたかったという以外に、注文した理由はないんだけれど、割とおいしかった。

『小春日和』(河出文庫)p43

皮肉だとしてもやっぱり素敵ね、と思い、まんまと消費社会の波にのまれるのである。