今年ももうおしまい。ちなみに去年のまとめはこちら。
小説部門
完全版はこちら
*ナタリー・サロート『子供時代』(湯原かのこ訳)
…ルリユール叢書のピンクとブルーの装丁がかわいい。幼年(enfance)文学の系譜(ウィティッグ、金井美恵子、黒田夏子、江國香織…)がなぜか好きなんだ。
*エリック・マコーマック『雲』(柴田元幸訳)
…もっとものめり込んで読んだ本かもしれない、一日で読み切ったし。読書に現実逃避を求めてるからどうしてものめり込めると好きになってしまう。復刊された『隠し部屋を査察して』もよかったけれど、長編の方が好きだった。『雲』も文庫化に期待!
*ロベルト・ボラーニョ『野生の探偵たち』(柳原孝敦・松本健二訳)
…はらわたリアリストに俺もなる!
*シャーリィ・ジャクスン『ずっとお城で暮らしてる』(市田泉訳)
…呪詛とシスターフッド。
*トーマス・ベルンハルト『破滅者』(岩下眞好訳)
…こちらも呪詛。
*パスカル・キニャール『音楽の憎しみ』(博多かおる訳)
…なにかと引用してる気がする。
*アンナ・カヴァン『アサイラム・ピース』(山田和子訳)
…小林美代子の『蝕まれた虹』も良かったが、やはりイメージの美しさでこちらを。
*マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(鈴木道彦訳)
…二月から読んでて今は「囚われの女」。完読いけるんじゃないか?私もかなり嫉妬深い方だと思うが語り手にはかなわない。
*津村記久子『君は永遠にそいつらより若い』
…『ミュージック・ブレス・ユー』でも号泣した。魂を高潔に。
*恩田陸『三月は深き紅の淵を』
…これものめり込む系。先へ先へと読ませる文章が本当に上手
*高橋たか子『誘惑者』
…めずらしく眠れなかった一晩に読んでいた。ここに書かれている自意識のことすごい知ってる。二階堂奥歯のことも、もうずっと私の中にある。
*『小川洋子の偏愛短篇箱』
…小川洋子は名アンソロジスト。内田百閒アンソロも良かった
*『日本SFの臨界点 怪奇編』
…石黒達昌の「雪女」が特に好きで、彼の他の作品も読んだが全部良かった。アンソロジーっていいね。
非小説部門
*吉野朔実『少年は荒野をめざす』
…知ってる人からしたら今更?と思われるでしょうが(というか本も映画も全般的に全然最新を拾っていないのだが)、本当に大好きで、大袈裟かもしれないけどこのような作品が世界にはあるということが救い。
*桜庭一樹『桜庭一樹読書日記』
…私の中の文学少女部分を掘り起こしてくれた。ブックガイドとしても大変優秀。
*ヤマシタトモコ『違国日記』
…年始の方の記事に結構書いたけど、微妙なところを全方位的にうまく描いているね…と感心してしまう。
*近藤聡乃『A子さんの恋人』
…5巻くらいから急に芸術とは…人生とは…みたいになって、三角関係がどうなるかより生きることのめんどくささといかに折り合いをつけるかということをわかる人にはわかる(と思わせる)ディティールで示してくれます。一回くらい中央線沿線に住んでみても良いかもな。
*芳川泰久『ボヴァリー夫人をごく私的に読む』
…これは名著。自由間接話法についての記事書く書く言ってて結局書かなかったね、そんなのばっかりです。
*山本貴光『マルジナリアでつかまえて』
…対面授業だったころ、好きな先生が自分の書き込み入りの本のコピーを配ってくれていて、それを舐めるように読んでいたものでした。マルジナリア大好き。
*今福龍太『伝奇集 一冊の本』
*三島芳治『児玉まりあ文学集成2』
…ボルヘス愛の二冊。ボルヘス自身の文章が好きかと言ったらそこまででもないが、バベルの図書館の発想とそれに影響された人やものは好き
*川野芽生『Lilith』
…今年は現代短歌クラシックシリーズをはじめ、歌集を結構買いました。ただすべての(?)大元の葛原妙子と塚本邦雄は持ってなくてダメなんじゃないかと思う。
*金井美恵子『目白雑録5』
…こういう批評をかける人間になりたいような、なりたくないような
* クリスティーヌ・ビュシ=グリュックスマン『バロック的理性と女性原理』杉本紀子訳
…興味範囲をうまく繋いでくれるような本だった。
映画
映画に関しては、去年後半から見始めました、みたいな感じでベストを挙げるのが躊躇われるが、そう考えだすと何も言えなくなってくるので、思うままに見て良いと思ったものをあげます(完全版はTwitterにあげた)
*西鶴一代女/溝口健二…正月の松竹で見た。圧倒
*ダゲール街の人々/アニエス・ヴァルダ…正月のイメージフォーラムで見た
*動くな、死ね、甦れ!/ヴィターリー・カネフスキー…まずタイトルが最高
*トーク・トゥ・ハー/ペドロ・アルモドバル…ピナ・バウシュのカフェ・ミュラーが見られる
*COLD WAR/パヴェウ・パヴリフスキ…今年見た映画で一番良かったかもしれないが、その良さを共有すべきでない人に共有してしまったため後悔している
*インディア・ソング/マルグリット・デュラス…ブルーレイ欲しい
*白痴/手塚眞…トラウマ的映画
音楽
*Sea change/作曲:R・R・ベネット、演奏:ジョン・ルッター&The Cambridge singers…一番聴いたアルバムかもしれない。表題作の後のA Farewell to Arms からが本当に良いです。今年は全く人前で演奏する機会がなかった。習い事の発表会とかもいれたらそんなの3歳ぶりとかかもね。
*アダンの風/青葉市子…コピーするようになってなおさら、ギターも歌唱も技術が素晴らしいことがわかる。生のライブ聴きたい。
*echo/Plastic Tree…急にはまり、サブスクもこれとインクしかないので、久々にツタヤで借りたりCD買ったりした。
*aiko全般…サブスク解禁されたときたくさん聴いていたらしい。カラオケ行きたい。
*zocの曲…ソロ曲含め、秋くらいに結構聴いていたかも。
結局歌える曲が好きだなというのは変わらない。
買って良かったもの
買い物をたくさんした年だった。破産はしないと思うけど一度手に入れたいと思ったら手に入れるまで気が済まないタイプであることはわかった。
*クラシックギター
…なんとか宣言明けの新宿で一日で決めて買った。青葉市子の曲が弾きたくて買ったし、それしか弾いてないけど三日坊主にならずそこそこ弾いています、あんまり上達はしてない
*iPad
…普通のやつの128GBで5万円しなかったので、もうちょっと早く買っておけば良かったかも。これで来年は論文読み書きが捗るはず!
*電気毛布
…超絶冷え性なのに暖房嫌いでいままで湯たんぽで頑張ってたけど電気毛布は革命だった。ほぼ24時間使っている。
*大島椿
…いままでミルボンのヘアミルク使っててそれもよかったけど、これ+ナノケアドライヤー+サロンシャンプーでだいぶ髪質が良くなったような気がする。
*Laboratolio Olfattivoの香水
…バニラとお香のにおいがする
*イニスフリーのパウダー
…みんなもってる緑のパケのやつ、前髪さらさらになる。
*ひざうさぎ
…ぬいぐるみ、重みがあってくたっとしてて可愛い。
*エルバンのインク
…万年筆インクに手を出す。綺麗
*deemo
…4〜10月にかけて毎日毎日やっていた。ゲームやってもすぐ飽きがちだが有料ゲームは広告ないし結構やりがいあってたのしい。iPad買ったので捗るかと思ったらそうでもない。ある曲でAC出せたら課金しようと思ってるんだけど、なかなか出せず。
本当になんだか変な年だった。何にもしていない気がするし、実際家で転がっているかたまに働くかしかしておらず、新しく人に出会わなかったし、知っていた人とはことごとく連絡をとらなくなった。昨年までは寂しいな、と思うことがあったけれどもうそれすらも感じず、早くぜんぶ終わればいいのにな、と願ってその場その場をやり過ごすみたいな日々の連続だった。でも怠惰であることには嫌悪感があって、明日からはこんなに画面をみない、食べない、と何度誓ったことでしょう。この生活を終わらせたいのなら就職活動をするしかないのかなあ、本当に?
今日『瞳子』読んだけど、彼女はいい感じにだらだらしていて、『小春日和』に通ずるよさがあった。夜になっても遊びつづけろ!