2019-06-15(杳子/氷)

 

 

雨が連れてくる閉塞感。読書がはかどる。平日は授業とバイトをしていればすぐに過ぎ去ってしまう。

古井由吉の『杳子』を読んだ。わたしはなぜか男性作家の文章は女性よりも時間がかかってしまいがちだけれど、わりとさらっと読めた。駅から家に歩くとかフォークとナイフを使うとか当たり前にできるはずのことが急にわからなくなってしまう感覚とか、それを「病気」と称して自分を特異なものだとおもうとか、それを冷めた目でみるとか。気分がころっと変わる杳子とそれに振り回されすぎない彼は、わがままな女とそれに従順な男の構図ではなかった。

昨日はアンナ・カヴァン『氷』を読んだけれどそっちも〈私〉が執拗に少女を求めながらも矛盾した行動を起こしたりした。人間ってそう一面的ではないよねーというのはみんな思っててもあまりに正反対の言動や行動があると受け入れられない。

自分を特別だと思うのは病気だと思う一方で、特別じゃなかったら生きていけないと思う。こんな保身ばかりしていていいだろうか。