過去への清算をする2日間、自分を励ますために化粧品を買ったりタピオカを飲んだりする。
なぁちゃんはたぶん今まででいちばん夢中になった女の子だ。アイドルは最初から笑っている。笑うことは媚びることで、アイドルっていうのは男に好かれるために媚びているのだと思っていた。でもなぁちゃんは違って、嫌なことがあるとそれはそれは不機嫌な顔をした。番組でMCに話をふられるとうまく答えられなくて泣いていた。注目されることが嫌みたいだった。
本当は人に好かれたい、けど自分に自信がない、自分を表現できずに泣いてしまう。そんな感情はわたしもすごく知っていて、同時に、なぁちゃんはかわいいから、と許されることでもわたしには許されないことが死ぬほどあることも知っている。女が女のアイドルを好きになることの意味をずっと考えている。なぁちゃんにかかる、守ってあげたい、という形容詞は完全に男目線のものだ。母性(そんなものがあったとして)ではなく、欲望だ。なぁちゃんには嫌な思いをせずにずっと楽しく幸せに笑っていてほしい。欲望を介さない恋というものがあるとしたら、わたしの彼女に対する思いはそれだった。