2022-12-30(年末/まとめ)

 

年末まとめの季節。私のまとめは今年出たものではなく今年受容したものです。

 

 

 

読書メーターの本棚はこちら。今年は再読含め142冊しか読めておらず、すくない。

プルースト失われた時を求めて:「見出された時」まで読めたのでなんといっても今年の一冊。人生の一冊。今年はプルースト没してから百年の記念であり、何かと話題にもなっていた。なんどでも折にふれて読むことになるだろう。読むこと、書くこと、芸術を感じること、恋愛すること、人生のすべてが書かれている。

保苅瑞穂『プルースト 読書の喜び』:保苅瑞穂の本もまたプルーストに付随して良かったもののうちの一つ。この本は最近文庫化したので人にも勧めやすい。みんなプルーストを読もう。

黒田夏子『累成体明寂』:日本のプルーストといえば黒田夏子である。日記もずっと私のテーマなので、小説家として世に認められるのが遅かった筆者の書くことをめぐる「暦族篇」がとてもよかった。「日記者」であるということ。

アナイス・ニンアナイス・ニンの日記』:私が読んだのはちくま文庫で出ているもの。これもやっぱり冒頭でプルーストヘンリー・ミラーに買い与え、ヘンリーが『失われた時を求めて』のどこに線を引いているか、ということを書いていてそこから引き込まれて大事に読んだのだった。

ロザリンド・クラウス『独身者たち』:独身者機械という魅力的な概念を知った。シュルレアリスムは女性に対して抑圧的・蔑視的であるという批判は、シュルレアリスムを単純化しすぎで、もっと多様な作品を取り上げるべきだという主張の本で、そういうやり方には賛同できる。

ジョルジュ・ディディ=ユベルマンジャコメッティ キューブと顔』:ジャコメッティは作品〈キューブ〉制作時にフロイトを読んでいたらしい。ジャコメッティとメランコリーについては、谷川多佳子『メランコリーの文化史』や千葉文夫『ミシェル・レリスの肖像』でも触れられていたけれども、ユベルマンのこれはジャコメッティの特異な作品〈キューブ〉を通して、認識できない喪失をどう作品に表すかということをよく分析していました。このあたりの本をまとめて読んでいたのが八月のことで、こういう読書が常にできていたらよいのに…。

 

映画・アニメ

あわせて51ほど。少なすぎる。

タル・ベーラ『ダムネーション/天罰』(1988):水の音が心地よいが寝てしまわない画面のかっこよさ。

ブレッソンたぶん悪魔が(1977):顔がいい!!

シャンタル・アケルマン『囚われの女』(2000):特集されていたアケルマン5本すべて映画館で観れたのはよかったです。なかでもやっぱりプルーストの翻案であるla Captive(≠prisonnière)。そもそも原作が眼差しのテーマをもつものの、最初の海辺の〈花咲く乙女たち〉を映写機越しに眼差すシモン、磨りガラス越しのお風呂、眠る女と欲望、などプルーストのエッセンスをかなり凝縮して、映画として提示していた。

輪るピングドラム(2011):安倍晋三統一教会の信者の子供である山上徹也に殺されるという象徴的な今年の事件を、あまりにも不気味な形で予知してしまっていたかもしれないすごいアニメ。生存戦略しましょうか。

 

音楽

あいもかわらずthe NovembersPlastic TreePeople in the box(この三つはライブにも行きました)、青葉市子、相対性理論などばかり聴いていたのでそれらは前提としてほかによく聴くようになったもの。

・Passage/DoZzz (2020):なんて読むのかわからない台湾のシューゲイザーバンド
・Microcastle/Deerhunter(2008):なかでもAgoraphobiaばかり聴いていた
・Single/Dottie(2020)

そういえばこのあいだ「私を構成する9枚」を考えてみたが、①剃刀乙女/青葉市子、②TOKYO BLACK HOLE/大森靖子、③To (melt into)/THE NOVEMBERS、④インク/Plastic Tree、⑤Kodomo Rengou/People in the box、⑥天声ジングル/相対性理論、⑦Single/Dottie、⑧プーランク合唱曲集/The sixteen、⑨ゴルトベルク変奏曲集/グレン・グールド、にした。

買ったもの

noble chairs:5.5万くらいするゲーミングチェア(白)。家にいるとき基本的に椅子に座るかベッドで寝るかしかないので、腰への負担を和らげるためにあってよかった。

基本情報・応用情報技術者試験:受験料(8000円くらいする)を払い、国家資格を二つ得た。会社からの報酬金もあるし良い買い物でした。持ち前の丸暗記力と国語力が役立ちました。あと会社のお金でSAPコンサルの資格もとったのでまあ成果としてはそこそこよかったのではないだろうか。

スプラトゥーン:9/8に発売されてから、なんと360時間以上の時間を費やしました。Xパワーは1700くらい、サーモンランはでんせつ200くらいが限界っぽく、最近は飽きてきました。

ロリィタブランドの服:MIHO MATSUDA、sheglit、星箱Worksで黒くて可愛いお洋服をいくつか買った。どれもまあ高い買い物だけれども、服を買うことや着ることを心から楽しむことができるようになって良かった。これももしかしたらすぐに飽きてしまうのかもしれないが、来年も気に入った服を身につけられていればいいなと思う。いまはまだぜんぜん街や日常に馴染んでいる格好(たぶん)だけど、もっと過激化してふりふりになっている可能性もある。

 

配信・動画

12月に入って急に興味を失いつつあるが、何も考えずにぼーっとみれてただ時間が潰せるという良くも悪くもの点において、配信や動画を視聴することがいかに適しているかということを知った。CRのうるかさんの配信を見ていた時間がたぶん最も長く、他によくみる人の名前をあげると、紫宮るな・月ノ美兎・葛葉・vaniLaなど。うるかさんには一時期推しといっても差し支えないほど興味を持ったが、推しを作るのは怖いので悪意が書いてある掲示板などをみて冷静になり、距離を取った。いつまでものんびりゲーム配信をしていてくれたら嬉しい。

 

各月かんたんまとめ

一月
バイト三昧。藤枝静男のレポートが書けて良かった。

二月
本をたくさん読んだ。『氷』三部作、『心は孤独な狩人』、『アーダ』など。

三月
なんか不安で無為にすごした日が多かった。京都に行った。無事卒業、袴のコスプレ。

四月
入社した。同期との飲み会とかすぐ面倒になった。基本情報とった。父方の祖母が亡くなった。

五月
アケルマン見に行ったりなんだかんだ映画とか本とかは摂取してた。はじめてゴスロリっぽいもの(sheglitのワンピース)買ったのここらへん。

六月
配属された。ここからわりとずっと暇。アナイス・ニンの日記がとにかくよかった。たぶん配信とかたくさん見てた。

七月
13冊読んでたのでそこそこ。別れた。RFA買ったけどすぐ挫折した。ミホマツのオルト買った。

八月
ひきこもり。『独身者たち』『アウステルリッツ』『八月の光』など22冊読んだ(今年最高量)。


九月
ここからスプラトゥーンにかなり割かれる。ツイートもすくない。

十月
結構限界な感じで応用情報うけた。ピープルのライブ良かった。

十一月
サブスクでゴダールを無理やりいろいろみた。先月のことなのにとくに覚えてない。

十二月
色んな人に会った。ボーナスでなんか本とか服とかいっぱい買った。

 

就職したということが今年の大きな出来事だったが、ほぼ在宅のゆるゆるホワイト企業であったおかげで大したことのない平凡な日常を送れている。毎日毎日働くのなんて病んでしまう!と身構えていたから、のんびりライフを送れて本当によかったし、むしろ大学時代よりお金があるのでそれに伴って精神的余裕もある。もちろん一方で世の中がどんどん悪い方向にいっているといううっすらした暗澹がある。

今年新たに知り合った人や久しぶりに会った人が比較的多く、いろんな人とほどよく仲良くしていけたらいいなと思っている。そういう人生の趨勢にどこか俯瞰でいられるようになってきているし、性格も前より穏やかになったような気がする。

来年はとにかく実家を出て一人暮らしをするということを目標にして、それだけ達成できたらいいなと思います。