2020-11-14(飛ぶ孔雀/好物)

 


山尾悠子金井美恵子のサインが入った『飛ぶ孔雀』が欲しいというなんともミーハーな欲望に逆らうことなく、浅草橋のパラボリカ・ビスへ。基本的に半径が家〜バイト先のせまいせまい生活圏内にいるのでちょっとした遠出である。体調が悪かったこともあり前日からナーバスで、もしお金を前払いしていなかったらたどりついていなかったかも知れない、が無事にたどりついた。浅草橋は手芸屋とかなんか細々とした材料を売っている店が多いらしい。

 


展示じたいは中川多理の「薔薇色の脚」と、ほかいくつかの脚の人形と、山尾悠子の掌編があるのみでこぢんまりとしたものだったが、昔の『夜想』や『銀星倶楽部』のバックナンバー、あと今井キラ(この人が挿画を書いている『女生徒』の絵本を高校の図書館で見て以来ファンである)の画集や小物、劇団イヌカレーの葉書、鳩山郁子のサイン入り本などなど、素敵なものがたくさんあって幸福空間だった。好きなものは所有したい性質なのでたくさん買い求めた。

感染症が流行り始めた頃から、あ、人はいつ死ぬかわかんないな、ということがありありと感じられるようになり、欲求をあまり我慢しなくなったような気がする。無駄に自分に負荷をかけがちみたいなところがあるので、破産しなければいいくらいの心持ちでいいことにしている。

 


夜想』の少女特集(2013年)は充実の内容。千野帽子の「黒い文學少女のためのうぬぼれ鏡」というブックセレクトとか、境界性パーソナリティ障害のこともこの特集に盛り込むこととか、たのしい雑誌ってこういうのだなと思う。

 


好きなものを主体的に選んでいくことを意識するようになったのはごく最近のことだ。私はこれが好きと主張し続けていないとどんどん取り込まれてしまうような感覚がある。最初はぜんぶ母の好みで、今もまだ完全に抜けきってはいないけれど、じょじょに抜け出せていっていると思う。今はたぶん潔癖すぎるくらいでちょうど良い。