2020-09-08(レモンタルト/読書日記/ブックリスト)

 

長野まゆみの『レモンタルト』を読んだ。いわゆるBLに関して知識ゼロゆえ、ほーこういう萌えがあるのねと、どこか新鮮さを感じながら。男性作家の設定する女性一人称にファンタジーが交じることがあるが、逆もまた然り。これは新宿紀伊國屋でやってた連作短編フェアで手に取った。昨日読んだ大江健三郎の『新しい人よ眼ざめよ』も置いてあったり、昔好きだった橋本紡の『九つの物語』とか、円城塔の『Self-reference ENGINE』(その場では手に取らなかったけどやっぱり読みたくなったのでさっき注文した)なかなかよいラインナップでした。そもそも連作短編という小説形式が好きなんだと思う。

 

図書館でなんとなく借りた『桜庭一樹読書日記 少年になり、本を買うのだ。』がすこぶる面白く、一日2〜4冊くらいは余裕で読んでるスピードに感嘆しつつ、また読みたい本がどさっと増える。わたしにも桜庭一樹が男性だと思っていた時期がありました。泉鏡花が女性だと思っていた時期がありました。

残念ながらわたしは清原なつのの”遅れてきた読者”であったので、学生時代、地元の古本屋を回りまくってなんとか、この花岡ちゃん〔引用者註『花岡ちゃんの夏休み』〕をみつけたのだった。あのときのぼろぼろの古本はまだ東京のワンルームの本棚に大事に並んでいる。でも書き下ろしのあとがきがあるのでこっちも買ったのだが、それによると花岡ちゃんは、少女向けに描いたけれど男性ファンが多くつき、作者は手紙をたくさんもらったという。眼鏡をかけた地味なルックスで、性格は偏屈で理屈っぽい、およそ女の子らしいかわゆさと真逆にいる”昔のお堅い女子大生”花岡ちゃんの、恋と、理屈と、妄想と、がんじがらめのプライドの物語。やっぱり好きだ。読んでいると心が落ち着いてくる。
あぁ。戦いは続く。

花岡ちゃん、読みたいなあ。あと、『私の男』(わたしはこの小説も映画もかなり好き)の執筆時(であることは、この引用部のだいぶ後からわかることなのだが)に迫力があって良い。

本を読むことをやめる。部屋を暗くして、一日、ただ音楽を聴く。ライブ映像を見る。ビデオクリップを見る。誰にも会わない。聴く。聴く。聴く。観る。観る。世界をさがす。まだ遠い。どこか、に……ある……ガンダーラ……ぐらい遠い。不安だ。部屋でおとなしく音楽を聴く。


抑圧的な必読書リストより、だんぜんこういう読書日記のほうが面白いし、なにより、本を読まなきゃ…じゃなくて読みたい!という気にさせる。本を読むことは、その本を読む前の自分をその本を読んだ後の自分にさせるという変化しかもたらさないんだから、なんで必読書!とか言って他人を脅迫出来るのかねえ…と呆れるけど、まあ選書する楽しさもわかるから、結局読みたい人が読みたいものを読めばいいんじゃないの。
かくいう私も、「闘う文学少女のためのブックリスト」というものを読書メーターの本棚機能で作ってある。

国内編 https://bookmeter.com/users/834728/bookcases/11580382
海外編 https://bookmeter.com/users/834728/bookcases/11580372
これは私のごく個人的なもので、まだまだ更新の余地あり、というか、ここに加えうるものをずっと読んでいきたいので減らすことはなくても随時増やします。我は闘う文学少女(性別・年齢問わず)と思う人は良かったら覗いてみてください。