2020-07-07(サボる/若草物語)

 

 

 

だいたい調子が悪いときは、この世界に好きなものがあるということを忘れる時で、なぜ忘れるかというと、他人を羨望したり嫉妬したりするからだと思う、つまるところ。ここに書くのを一週間以上開けてしまうのはよくない。

 

とくに仕事がきついとか、嫌な上司や同僚がいるとかではないのだが、どこにも行かずにアパートにいたいという欲望が強烈で、屈する以外になかった。きょうの場合、会社を休むことはゆうべのうちに決めていた。雨が降っていたからだ。雨はうっとうしい。だから有為子は、もしあしたも雨なら会社を休もうと決めた。が、起きてみると晴れていて、正直なところ、有為子はかなり困った。〔…〕でも、すでにすっかり休む気でいた有為子としては、天気がいいからといって急に出勤モードに切り替えられるはずもなく、こんなことをしていていいのだろうか、と思いながらも寝そべって、ぬいぐるみたちといっしょにテレビ画面で、アメリカの風景や犯罪や、カーチェイスや撃ち合いや、食事シーンや入浴シーンを眺めている。有為子が会社に行かなくてもぬいぐるみたちは気にしない。というより。行かないのがあたりまえだとすら思っているに違いなく(だって彼らは誰も会社になど行かないのだし、この世に会社という場所があることも知らないのだから)、有為子は彼らに許されていると感じる。仲間として認められている、とも。

 

江國香織『去年の雪』

 


ディスプレイの見過ぎとお菓子の食べ過ぎで気持ち悪いし、相変わらず家は険悪。甘えすぎだって言われて、たしかに経済的にはかなり甘えてるんだけど(でも高校の同級生の話を聞く限り、そんなに甘えてない方だと思う)、それ以外は甘えてるつもりはなくて一体わたしにどういう風に育って欲しかったのだろう。口ごたえしない従順な子供?なんで産んだんだろう早く死にたいというところにいつも帰着してしまう。『ストーリー・オブ・マイライフ』で、ジョーが「女は野心もあるしべつに結婚しなくたって幸せだけど、でも寂しい」って言ってたところで号泣してしまった。

 

だれにも存在をのぞまれなくていいから、せめて、だれにも存在をうとまれたくない。