2019-10-24(メモ/本)

 

 

最近読んだ、読んでいる本のメモ

 

河野多恵子『幼児狩り/蟹』

語弊がある言い方だが、女性作家のよくあるモチーフである「赤」が露骨にたくさん出てきた。冷徹な筆致で怖いこと書くの、津島佑子のときも思った。やっぱり情感的に女性が女性のことを書くということへの自己抑制みたいなのが、あるのだろうか?

 

ジュディス・バトラーアンティゴネーの主張』竹村和子

授業で読んだ。エディプス・コンプレックスで(だいたい)すべてを説明しようとする精神分析に対するバトラーの憎しみが透けてみえる。

現代思想』2000年12月のバトラー特集に載っている、大貫敦子の論考が要点押さえてあって非常にわかりやすかった(『アンティゴネーの主張』は出される前)。現代思想でバトラー特集三回組まれてて、まだ二回目のをあまり読んでないのですが、やっぱり最近はフェミニズム理論的な面ではなくて、トランスジェンダーの問題などもっと実際的な問題に移ってきた感がある。もうバトラーの言っていることはだいたい把握した(気がする)ので、ちょっと離れたいんですが… なかなか…

 

ヴァージニア・ウルフ『病むことについて』

ウルフ読むと、単純に、すごく文章が上手いと思う。比喩や擬人化の使い方とか、技術的な面ですごく素朴に上手いな〜と感心してしまう。病んでいるときは詩を読むのがいいらしい。ウルフってすごく有名で重要な作家のわりに著作が手に入りにくい。

 

八柳李花サンクチュアリ

いま病んでるかわからないけど(身体は比較的健康かも)、積んでいた詩を読もうと思って。「なぜ知っているのにこんなにも踏みしめる絵は美しくうつしみを描くのか」

関係ないけど、日々の言葉ひとつひとつが踏み絵のように試されている感じがする。

 

●『ドゥルーズ 千の文学』

豊かないい本だと思う。ドゥルーズ知らなくても誰か知っている作家をとっかかりに読むことができるし、逆にドゥルーズによる読解という側面で色々な作家に触れることができる。ウルフ、ブランショペソアマゾッホあたりの論がとくに面白かった。しかし、生成変化って便利な概念よね。「女性になる」というときに、ボーヴォワール的なものと、ドゥルーズ的なものがあるのかなと、ぼんやり思ったり。ブランショはちゃんと読みたい感じがして、思潮社の『ブランショ 生誕100年』もちょこちょこ読んではいて、語りの主体について言っていることは面白そう(まだ正確にはわからない)なのだけれど、〈死〉の概念を出してくるあたり、ちょっとメランコリックでは?という感じがする。

 

●北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か』

北村が翻訳したキャトリン・モランの『女になる方法』(これはもちろんボーヴォワールの方)読んだときにとても翻訳が上手だという印象があって、この本もやっぱり文章が読みやすい感じで良かった(ツイッターで炎上?しがちの人だけど、まあそれもいいけど、ちょっと損しちゃうんじゃないかなーと余計な心配を…)。「フェミニスト」批評というから、「この作品のここが性差別的でだめ!」というだけなのかと思っていたけれど、そんなこともなく、特に一章のあたりの内なるサッチャーのくだりとか嵐が丘のとことかわくわくして読んだ。

映画の『ナチュラルウーマン』に触れられていたのでそれも観た。あまりいいとは思わなかった。特に最後のあたりで股間に(性器を隠すようなかたちで)丸い鏡置いてそこに顔写すシーンが、は?って感じだった。

 

マルグリット・デュラス『愛人』

ウェブ上で連載されている高浜寛によるこれの漫画化がとても良くて、映像的に読めた。デュラスもちゃんと読みたいし、映画も観たいのになかなか… 

 

ガルシア・マルケス百年の孤独

やっぱり名作ってすごい。ちょっとずつ読んでいるけれど、久しぶりに面白い小説を読んでいる感じがする。

(書いて思ったけど哲学思想系ばっかりで、そもそもあんまり小説読めてないわ)