2019-04-30

 

いまここの瞬間がどんどん過去になって、もう二度といまここは訪れないということを、舞台に立つたびに切実におもう。一音ずつ追っているうちにいつのまにか曲が終わっている、何年生きても同じ場所同じ人たちと再び歌うことはない。

歌うと酸素が足りなくなって身体全体が音に共鳴して頭がくらくらする。指揮者と目を合わせる瞬間に通じる甘い悦びがある。これは性的絶頂にかなり近いのではないか、それよりも強い快感かもしれない。

わたしは全然上手いわけではないけれど、技術的にかなりレベルの高い団体に属していてかなり難しい素晴らしい歌を歌えることが未だに信じられなくて、単純にすごく嬉しい。単純にすごく嬉しいという気持ちを長く忘れていた。