『ホリー・ガーデン』のなかに、静枝が雨の日のプールで背浮きになって天井のガラスに雨が降る様子を眺めている描写があった、わたしはその光景を言葉を通してはっきりとみているのに、本のなかを探しても該当箇所は見当たらない。
日曜の雨の日のプールは予想以上に人がたくさんいて雨の音なんて聞こえなかったけれど、もくもくと3kmくらい泳いで体が疲労感につつまれる。静枝「身体を鍛えることが問題なのではなく、自分の身体を支配すること、制御することが問題なのだ」まさに。
『ホリー・ガーデン』は江國香織最初の三人称小説(たしか) だけど、とてもそれがうまくいっていると思う。果歩も静枝もわたしたちからは等距離にいる。
二人の詩
薄氷のはつてゐるやうな
二人
二人は淋みしい
二人の手は冷めたい
二人は月を見ている
果歩はよく尾形亀之助の詩を暗唱する。
これは作中には出てこない詩だけど、この二人は果歩と静枝だと思っている。