2022-09-23(石/鐘の金色の音)

しばらく一週間ごとに出来事と即物的な感情をつらねた日記を掲載していたのだが、自分で見返してみてもつまらなく、また書けることと書けないことの線引きが難しく感じたので非公開にした。前みたいに書ける日は書くことにしようと思う。こうやって書くこと…

ジュディス・バトラーにおけるジェンダー・メランコリーの系譜学①

目次 ●前書き 第一章 フロイトのメランコリー論 1−1 喪とメランコリー 1−2 ある批判的審級 1−3 エディプスコンプレクス 第二章 バトラーのフロイト批判 2−1 法の遡及的効果としての「気質」 2−2 同性愛の予めの排除 2−3 パフォーマティヴなジェ…

2022-0523〜0529

5/23・労働が嫌すぎる。チームメンバーの機嫌に左右されるのめんどくさいし、早くチームの研修終わってほしい。・葛葉・だるま・ラトナプティのえぺ配信面白くて寝るの遅くなった 5/24・うるかさんランク配信早朝からお昼くらいまであって仕事中もずっとみて…

2022-0322〜0401

3/22 火 電話越しに怒られる夢。郵便局まで歩くと雪が降ってくる。ついでに本屋で塚本邦雄『十二神政変』、コーマック・マッカーシー『ザ・ロード』買う。寒いのでそそくさと帰ってパジャマに戻る。急に停電の警告がある。ベッドで江國香織の最新作の『ひと…

藤枝静男「空気頭」について

はじめに 日本の近現代小説を一考するうえで、「私小説」の系譜を無視することはできない。私小説とは、「書くこと」と「私」という小説における根源的な要素それ自体を題材とし、小説という形式にする試みのことである。仮にその源流を田山花袋の『蒲団』(…

2022-02-14(日記者/散逸)

しかしあたりまえながら日記者は日記を書いているとき最も上きげんで最も健康なのだ。日記を書く時間をぬすめたかぎり、日記者の生存は安泰であり、ごく平坦な日常にまぎれていようと制作に没入していようと、あるいは喜怒哀楽の高揚にあろうと、ふりかかる…

エリック・ロメールの映画技法

学部三年の冬に書いたものです。一つの作家の映画を三つ以上見てそれらについて論じる、という課題でした。ちょっとレトリックを覚えたのかもしれない。 「私が長らく不満だったのは、映画であれば画面にラジオもステレオも音楽家も見えないにもかかわらず、…

個を引き受けること——松浦理英子の小説における「対話性」

学部二年の夏に書いたものです。はじめてまともに書いたレポートかもしれない。 はじめに 松浦理英子は一九七八年に『葬儀の日』で文學界新人賞を受賞してデビューした作家である。松浦の作品においては、エッセイや対談、インタビューなどで語られる松浦自…

岡上淑子のフォト・コラージュ

学部三年の冬に書いたものです。コメントでは、シュルレアリスムの女性作家と比較すべき(ハンナ・ヘーヒとか)って書かれました。 わずか七年の間におよそ一二〇点の作品をのこし、四十年ほど忘れられた作家であった岡上淑子のフォト・コラージュは…

イメージの構築と破壊  山尾悠子「夢の棲む街」について

学部四年の春に書いたものです。時間がなくけっこうやっつけ仕事的に書いてしまった気がします 誰かが私に言ったのだ/世界は言葉でできていると*1——山尾悠子の小説世界を表す言葉として有名になった一節である。言葉によって架空の世界を構築し、…

星座から万華鏡へ ベンヤミンのアレゴリー論

学部三年の夏に期末レポートとして書いたものです。いまみるとかなり拙く、もっと書き込むべきと思いますが、拾っているポイント自体はいまも興味のあることなので、いろいろ読んでからいつか書き直せたらいいなあと思っています。 1.はじめに 本稿では…

2022-01-15(どうぶつ/空気頭/メレオロジー)

大晦日にSwitchとあつまれどうぶつの森を買いそれをせっせとやりながら、それを買ったことでなくなったお金を稼ぐためにせっせと働いていたら、もう年明けて二週間以上経ってしまった。 このブログはかなり自分の思考のセーブポイントになっているから、もっ…

2021-12-31(年末/まとめ)

もう年をまたいでしまったけれども、去年の良かったものまとめを一応記しておきます。 本 映画 買ったもの 本 283冊読みました。 ・人間の生のありえなさ/脇坂真弥…本当のことしか書かれていません。 ・房思琪の初恋の楽園/林奕含…三人称多元で書かれた小…

2021-12-29(叔母たち/透明)

乗代雄介の最新の本である『掠れうる星たちの実験』に収められている、阿佐美サーガの書き下ろしの一片「フィリフヨンカのべっぴんさん」には、景子が叔母のゆき江に生前貸した最後の本が『違国日記』の第一巻であることが書かれている。 2020年1月23日の私…

2021-12-18(メランコリー/ジェンダー)

卒業論文を提出した。テーマ自体は一年以上前からずっと変わっていなくて、最初からこういうものが書きたいというヴィジョンがなんとなくあったけれど、それを秩序立てた論文の体裁にするということが難しくてそれなりに苦しかった。でもなんとか書きたいこ…

2021-11-11(ラギッド/misstopia)

11/7 朝電話で泣き、行く道でも電車でも泣き、帰り際も泣き、はやく死んじゃいたいとしか考えられなかった。セックスのあいだは全部忘れていた。前の日に何もしない日を作らないほうがいいって書いたばかりなのに何もできなかった。『ラギッド・ガール』最初…

2021-11-06(視力/見通し)

何度か書こうとはしたけれど、十月は一度も書けなかった。去年もこの時期の更新が全然なくて、悪い季節なのだと納得する。このままずるずると書けなくなっていくのでどんなにつまらなくても書いてみることにする。 目を酷使するので視力が落ちてしまった。右…

2021-09-27(他人の言葉/ありえなさ)

なにぶんいちばん厄介なのは、他人の言葉で語るという恐ろしさをはっきりと自覚していないので、その振りがかなり大振りなことです。僕が当時漠として抱えていた「不快」は、このあたりに存していたのかもしれません。つまり、なぜこんな風に書くことしかで…

2021-09-21(罅/ああこれは)

そわそわして早く起きる。暗いところで化粧するから変になってるって言われる夢をみた。窓に映った自分の顔が白くひび割れていた。昨日図書館で借りた『ベケット氏の最期の時間』を読む。一老人としてのベケット。そんなに面白くない。いつも暗いところで化…

2021-09-06(ぬいぐるみ/逃亡派)

ぬいぐるみは、大切にしていたらいなくならないし、こちらになにか要求してくることもなくただそこにいる。 茅野のツイッターアカウントは復旧したものの、ツイートをする気分にはならず、でもツイートのような断片的なたとえば上のような文章がうかんできて…

2021-09-02(土星/としての/私)

日記はキティと呼びかけるより、あんた誰?から始めたい派だ。だいたい一週間以上書かないでいると、書き方を忘れてしまう。 何日も何週間もむなしく頭を悩ませ、習慣で書いているのか、自己顕示欲から書いているのか、それともほかに取り柄がないから書くの…

ドゥルーズと音楽

※学部二年の冬に提出したレポートの転載です。 ハミングは音の響きとして繰り返される。リトルネロ、夢というものが意識が回収しきれずにいる綻んだ苦しみをすっぽりと覆い尽くすものであるのと変わらずに、ことばで縫合しきることのない境界をさすり続ける…

2021-08-21(ノート/つるはし)

去年同様、現在のノートの使用状況を備忘録的に書いておく。 ・三年日記:無印文庫ノート 去年同様 ・日記:モレスキン 一番小さいサイズのピンク 去年同様。そんなに使ってない。 ・日記:MDノート 文庫横罫 今年あたまから使用。『最高の任務』を再読し、…

2021-08-20(まどか/ほむら)

きのう、『魔法少女まどか☆マギカ』をはじめて、一気にみた。すごい話だった。(昔のだから、ネタバレとかないかもだけど、一応ネタバレ嫌な人は以下読まないほうがよし。見てない人はまっさらな状態で見てほしい)。簡単に無意味に泣くので、泣いたっていっ…

2021-08-15(とり乱し/乞食)

すずしくて体が楽だ。このまま秋になってくれたらどんなにいいか。 個人の努力でいくらでも可愛くなれるということが規範化された狭苦しい世の中だと思う。しかもその可愛さというのは、ぱっちり二重で顔の肉がすくなくて眉が並行で目と眉がちかくて鼻筋が高…

2021-08-12(カメラの眼/能動/おそれ)

濱口竜介の『寝ても覚めても』の二回目をみて、そのあと柴崎友香の『寝ても覚めても』をはじめて読んだ。映画と小説はべつのものとして、それでも小説を読んで朝子という人がわたしのなかでかなり違う印象になった。まず、写真を撮る人であるということ。小…

2021-07-29(制作へ/多宇宙)

ぼくらは、当たり前のことだけれど、小説をひたすら巧みに練習しているだけでは、自ら死に向かう気持ちを、うまくくつがえすことができない。 『いぬのせなか座1号』の、感動的ですらある座談会1の冒頭近くにおかれた文章。これは、一月二十三日に『旅する…

2021-07-26(摩耗/夢の棲む/闘い)

気圧や気候や生理に伴うホルモンバランスや人との摩擦など、ぜんぶストレスといえばそれでかたづいてしまうのだが、それにしてもかつてない身体の異常が起こっている(おさまりつつある)ので動揺している。母はもっと動揺している。そのことにいまなお甘え…

2021-07-20(私の世界/演技/私)

セカイ系と呼ばれうるもの(エヴァ、ファイアパンチ)を見・読んで、女性主人公が愛する相手か世界の滅亡かを選ばなくてはならない設定の物語ってあるのだろうかという疑問がわいた。そのことを人に話したら、女性はそもそもそういった感情、世界がどうなっ…

2021-07-16(庭園の夏/やり直し/体力)

私には、夏そのものは美しいと感ずる前に怖しい。恐怖の第一要因は湿度、熱気と湿気の相乗性による不快感は、私から思考能力を完全に奪い去る。黴雨時の満員電車を想像するだけで嘔吐を催す。[…]私の遊行逍遥するのはもつぱら言葉の王國、抽象の城館、庭園…