2022-02-14から1日間の記事一覧

エリック・ロメールの映画技法

学部三年の冬に書いたものです。一つの作家の映画を三つ以上見てそれらについて論じる、という課題でした。ちょっとレトリックを覚えたのかもしれない。 「私が長らく不満だったのは、映画であれば画面にラジオもステレオも音楽家も見えないにもかかわらず、…

個を引き受けること——松浦理英子の小説における「対話性」

学部二年の夏に書いたものです。はじめてまともに書いたレポートかもしれない。 はじめに 松浦理英子は一九七八年に『葬儀の日』で文學界新人賞を受賞してデビューした作家である。松浦の作品においては、エッセイや対談、インタビューなどで語られる松浦自…

岡上淑子のフォト・コラージュ

学部三年の冬に書いたものです。コメントでは、シュルレアリスムの女性作家と比較すべき(ハンナ・ヘーヒとか)って書かれました。 わずか七年の間におよそ一二〇点の作品をのこし、四十年ほど忘れられた作家であった岡上淑子のフォト・コラージュは…

イメージの構築と破壊  山尾悠子「夢の棲む街」について

学部四年の春に書いたものです。時間がなくけっこうやっつけ仕事的に書いてしまった気がします 誰かが私に言ったのだ/世界は言葉でできていると*1——山尾悠子の小説世界を表す言葉として有名になった一節である。言葉によって架空の世界を構築し、…

星座から万華鏡へ ベンヤミンのアレゴリー論

学部三年の夏に期末レポートとして書いたものです。いまみるとかなり拙く、もっと書き込むべきと思いますが、拾っているポイント自体はいまも興味のあることなので、いろいろ読んでからいつか書き直せたらいいなあと思っています。 1.はじめに 本稿では…